
|
くも膜下出血によく合併する病態として、脳血管攣縮と水頭症があります。
脳血管攣縮
くも膜下出血になってから、4日から14日目の間に、脳の血管が著しく収縮してしまうことがしばしば見受けられ、これが脳血管攣縮といわれる現象です。(図A 脳血管萎縮の図)
脳血管は、血液を脳に運ぶパイプラインのような役割をしていますが、一旦これが破れ、血管の周辺に血液が付着すると、その数日後に著しく血管の壁にある平滑筋が収縮すると言われます。患者はくも膜下出血により、ただでさえ脳が損傷を受けているにもかかわらず、さらに脳血管攣縮により脳へ運ばれる血液量が低下するため、危機的な状況になります。血管の収縮は通常、一過性でありますが、その間に脳梗塞となってしまうこともあり、重度の後遺症を残すこともしばしばあります。この脳血管攣縮については、現時点では予防する手段はなく、くも膜下出血の治療を困難にしている原因の一つです。
水頭症
通常、脳は、髄液という透明な液体の中に浮いている状態で、頭蓋内に存在しています。この髄液は一日に、500ccから700cc程度が脳内の脳室というところで産生され、頭蓋内を循環し、脳の表面から吸収されます。くも膜下出血になると、脳の表面が血液で覆われるため、この髄液を吸収する能力が低下し、このために髄液が少しづつ頭蓋内に蓄積されていきます。この蓄積された髄液がゆっくりと脳を圧迫して、患者はくも膜下出血の数週間後に、徐々に歩行障害や失禁、痴呆症状等を徐々に呈します。これが水頭症と言われる状態です。
|
|
脳室内への髄液の
著しい貯留 |
貯留による脳室の
拡大を認める |
|
くも膜下出血後の患者が水頭症を呈した場合には、頭蓋内に蓄積された髄液を除去し、体の他の部分から吸収させる必要があります。最も一般的に行われているのは、皮下に細い管を通して、頭蓋内の過剰髄液を腹腔内に排出する脳室腹腔シャント術で、比較的安全かつ、有効な手術です。 |
|
|